リングは彼女に
辺りを見回し、タクシーを探す。
今の時間では終電があるはずもないし、始発までにも時間がある。
タクシーで家に帰るしかないと思い。右腕を上げ、タクシーが止まるのをじっと待った。雪の降り方も先刻より激しくなり、早くタクシーが止まることを願った。
しばらくして、一台の黄色いタクシーが止まった。
後部座席のドアが開き、俺を招き入れる。タクシーに乗り込み、自分の家のある地域を運転手に告げた。
しかし、おかしい事に開いたままのドアが閉まらない。怪訝に思い、運転手に尋ねた。
「運転手さん。寒いんですけど、早くドアを閉めてもらえませんか?」