リングは彼女に
そして、こんな状況である。俺は鈍感な男だけど、どう考えても彼女が誘っているとしか思えない。
これからの時間をどう過ごすべきか。
いまだ頭の中は煩悩で溢れている。今にも零れ落ちそうなほどだ。
シャワールームの扉が開く。中から体にタオルを巻いた理那が出てきた。
「和人くんもシャワー使う?」
「あ、ああ。使わせてもらうよ」
俺はぎこちなくそう答えて、小走りでシャワールームに向かった。
姿勢がちょっと前かがみになっているのだが、男ならば仕方が無いことだ。