リングは彼女に


 そして、こんな状況である。俺は鈍感な男だけど、どう考えても彼女が誘っているとしか思えない。



 これからの時間をどう過ごすべきか。



 いまだ頭の中は煩悩で溢れている。今にも零れ落ちそうなほどだ。


 シャワールームの扉が開く。中から体にタオルを巻いた理那が出てきた。


「和人くんもシャワー使う?」

「あ、ああ。使わせてもらうよ」

 俺はぎこちなくそう答えて、小走りでシャワールームに向かった。

 姿勢がちょっと前かがみになっているのだが、男ならば仕方が無いことだ。
< 71 / 228 >

この作品をシェア

pagetop