リングは彼女に


 シャワーから出て、そろそろとベッドに向かう。すると理那が窓際から外を眺めていた。


「見て見て、すっごく良い景色ね」

 それはそうだろう、なにしろこの部屋は十五階、このホテルで一番高い階だ。


 ガラス張りの大きな窓からの夜景は、非常に綺麗で、降りしきる雪が、また神々しく、ロマンチックであった。



「うーん、私眠くなっちゃった。もう寝るね」

 両手で猫の様に目をこすりながら、理那は言った。そのまま窓側の方のベッドに体を大の字にして倒れこむ。体が羽毛の布団に沈んだ。


 それを見て俺は思った。


 これは、今がチャンスなのかもしれない……しかし、そんな、いけない。


 何を考えているんだ俺は……だが、今しかないのか?


 いや、今だからこそ、自分の殻を破るべきなのか?



 途端に、体が動いた。
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