リングは彼女に
第4章
カラスの鳴く朝
鳥の鳴き声が聞こえ、窓から差し込む陽の光の眩しさに目が覚める。
いつもはスズメが伝えてくれる朝の訪れだが、今日はカラスがギャアギャアとうるさい。そのせいか、あまり爽やかな目覚めではなかった。
ベッドの中で虚ろに目を見開き、隣りのベッドを見ると、理那がいない。身を起こして、腕時計を見ると、時間は丁度、午前七時半だった。
気だるい気分だったが、なんとかベッドから起きて、大きく伸びをする。疲れているのか、体の節々が痛い。
特に腹が痛い。
何気なくシャツを捲ってその部分を見ると、見事な青痣が出来ていた。間違いなく理那に蹴り飛ばされた部分だ。俺は苦笑いを浮かべた。
そういえば、仕事に行かなければいけない。出社まであまり時間がないことを思い出した。
ネクタイを締め、スーツを着て、忘れ物がないかを確認する。