リングは彼女に

 しばらくするとお昼の休憩時間になった。一服するために喫煙所に向かう。


「いよお、お疲れさん」


 喫煙所で煙草を吸っていると、同僚の大塚さんが缶コーヒー片手にこちらに来た。

 スポーツ刈りで髪型はさっぱりしているのだが、いつも額を脂でギラギラ輝かせている人だ。

 その脂のせいか分からないが、黒縁眼鏡のレンズはいつも汚れていて、いい加減拭いたらいいんじゃないかと思うのだが、レンズがキレイなところは、入社してから一度も見ていない。


 視線を下におとすと、はち切れんばかりのワイシャツがズボンからはみ出ている。


 中年太りのせいだろう、でんと出たお腹にはなかなかの貫禄が漂う。もうすぐ四十を迎えるいいオッサンだ。
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