リングは彼女に


「君は純粋な子どもだったんだな。うちの息子なんて、もう俺がプレゼントを用意してることに気が付いてやがる。最近の子どもは夢がなくて駄目だ。夢がないと言えば、俺は息子の小学校の頃の文集を見たとき、びっくりして目が丸くなったよ。将来の夢が公務員だってさ。ま、親としてはありがたいけど、笑っちゃうよな。だが、今はそういう子どもが増えてるみたいだ。やっぱり時代なんだろうな。俺が子どもの時はみんなパイロットとか宇宙飛行士とかに憧れてたもんだけどなあ」


 大塚さんは缶コーヒーを飲み干したらしく、空き缶をゴミ箱に向かって放り投げた。がしゃんと音がして見事に入ると「おし」と言って、満足気な顔になった。


「将来の夢が公務員なんて、俺が小学生の頃にもそんなこと書いてる人はいなかったですよ。寂しい時代になりましたね。安定ばかり目指して、かわいそうに。しかし、そういう教育を受けているから仕方が無いのかもしれません。だけど、子どもならもっと大きな夢を書いたらいいのに」


 そこまで言って、自分の目指していたものを思い出した。俺がなりたかったもの……
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