リングは彼女に
これ、どうしよう。
もう渡すことが出来なくなってしまったのだから、捨てるべきなのだろうか。
しかし、高価な買い物だったので、捨てるというのはちょっと無理だ。勇気がいる。だが、持っている意味もない。さて、どうしたものか。
ひとまず、外箱はいらないだろう。箱と白いリボンはゴミ箱に捨てた。
この指輪が問題だ。色々と考えを巡らせながら、指輪の表面に映る自分と睨み合う。
由美に別れを告げられたあの時、彼女に対して、無理矢理にでも結婚の話をするべきだったのだろうか。そしてこの指輪を手渡せば、もっと違う結果となっていたのかもしれない。
しかし、もうどうしようもない。ただツイていなかっただけなのかも……?