リングは彼女に
「誰? 和人くん?」
「あ、はい」
「ちょっと! 電話してくるの遅すぎ!」
高い声で耳がきんきんする。思わず受話器を耳から離した。
「え? そんな事言われても……どうかしたんですか?」
「はあー、和人くんはほんと、相変わらずな鈍感さだね。昨日言ったでしょ? 私は帰る家が無くなっちゃったの。はい、それじゃあこういう場合にどうすればいいか。和人くん分かる?」
「どうすればいいかって、言われましても……」
俺は困った。電話しなきゃ良かったのかもしれない。理那の魂胆が読めた。