リングは彼女に
「つまり……俺の家に泊めてくれってことですか?」ため息混じりに答える。すると嬉しそうな声で返事が返ってきた。
「ピンポーン! 分かってるじゃない! じゃあ今から行くねー。と、和人くんはどこに住んでるのかな? 場所が分からないといけないな」
「はいはい、分かりましたよ……迎えに行きます。それで、どこにいるんですか?」
「私は今駅前のコンビニにいます。立ち読みをしながら君からの電話を待っていたのです。早く来てね!」
「分かりましたよ」そう答えた後、電話を切った。
家の中を適当に掃除し、人に見せても恥ずかしくない状態にした。
それにしても、テーブルの上の指輪はどうしたらいいのか、考えがまとまらなかったので、ひとまずスーツの胸ポケットに押し込んだ。また後で考えよう。
それからコートを羽織り、部屋を出た。
外に出ると帰ってくる時よりもさらに冷え込んでいて、今にも雪が降り出しそうな曇り空だった。
俺はほどけないようにしっかりとマフラーを巻き、駅のある方向へと歩き出した。