リングは彼女に
駅前のコンビニといったら、ここに違いない。
黄色と緑の看板の中心にKのマーク。
それとなく確認してから店内に入る。店内ですぐに理那を見つけた。
彼女は電話で話していた通り、立ち読みをしていた。
重そうな女性ファッション誌を慣れた手付きでパラパラとめくっている。
そっと後ろに回ってみたが、まったく気付いていない。腕を伸ばして、とんと肩を叩いた。
「あら、遅かったね」理那は本をラックに戻してから、振り返り、電話と変わらぬ調子で答えた。
「これでも急いで来たつもりなんですけどね」
「ふーん。ありがと。お腹減っちゃったなあ。なにか買ってから帰りましょ」
まるで自分の家に帰るかのように気軽な感じ。俺はひとつの疑問をぶつけてみた。