◇ 私の彼氏 。
「海だーっ♪」
愛美の家から海まで徒歩5分。
近くに遊園地もあるし、デパートもあるし、飲食店やカラオケやゲーセンもある。
元カレを思い出すこの街が嫌いだったが、今ではすっかりお気に入りの街になっていた。
「りぃはしゃぎすぎ」
そんな私を見て、呆れながらも優しい声で話しかける。
何でだろ‥
かなたんと居ると、凄く安心出来る。
「海入りたいっ!」
「まじで?」
「入ってくる!」
驚くかなたんを他所目に、私は健サンを脱ぎ砂浜に駆け出した。
「かなたんも入ろー?」
暫くはしゃいだ私は、ただ見てるだけのかなたんに気付き話し掛ける。
「やだよ、濡れるし」
そんな私に爽やかに微笑みながらの拒否。
「入るよねっ?」
笑顔でリベンジ。
「‥‥‥わかったよ」
さすがかなたん。
相変わらず優しい。