◇ 私の彼氏 。
「まじか」
「うんっ。きっと、かなたんと付き合った子は幸せだろうね」
私は本心でこれを言ったんだけど、かなたんの笑顔はそこで曇った。
「俺と付き合ってもいい事ないよ」
「なんで?」
「さぁ?俺付き合ったらフラれてばっかだし」
そう言ったかなたんは、自嘲的な笑みを浮かべた。
そんなかなたんに私は、何て言えばいいかわからなかった。
だけど、もしかしたら私たちは似てるのかもしれない。
フラれる事が怖くて前に進めない ─‥ 。
「さて。帰ろっか?」
「うん♪」
帰り際、愛美の健サンを履いていた私は、汚れてしまわないように裸足で帰ろうとしていた。
そんな私にかなたんは自分の健サンを貸してくれた。
『危ないから』って。
やっぱり私は、こんな優しいかなたんがフラれる理由が全然わからなかった。