◇ 私の彼氏 。
「 過去の呪縛 」
ゆーちゃんちに向かうタクシーの中で私は、かなたんにメールを打った。
『かなたん、ありがとうね』
『いや、いいよ
ちゃんと話して来いよ』
意外にも返信の早いかなたんとは何通かメールが続いたが、ゆーちゃんちに着いてからはメールを辞めた。
なんだか後ろめたかったから ‥ 。
「久しぶり」
「どうも」
タクシー代はゆーちゃんが出してくれた。
一丁前に「お釣りはいい」なんて言っちゃって、さすが元ホスト。
金遣いの荒い事。
そして‥
「ん、何?」
相変わらずかっこいいなコイツ。
「別に。あ、柚子ねぇいんの?」
「いるけど、もう寝てると思うから挨拶するなら明日な」
「はいはーい」
柚子ねぇは、ゆーちゃんの同居人みたいな感じのお姉さん。
美人だけどゆーちゃんと恋愛関係になる事はないし、ちゃんと彼氏さんもいる。
ゆーちゃんと付き合ってた頃は、よく相談に乗ってもらってたっけ‥。