◇ 私の彼氏 。
ひとしきり準備の終わった私はロフトに荷物を取りに行きゆーちゃんの側による。
ゆーちゃんも準備が出来た様だ。
「行くか」
「うん。あ‥」
柚子ねぇに挨拶しなきゃ。
「お邪魔しました♪」
「はーい」
それを見たゆーちゃんも私の隣からリビングに顔を出し
「お邪魔しました♪」
馬鹿だ、コイツ。
そんなゆーちゃん無視して柚子ねぇは、
「あ、ゆーちゃん風呂の換気扇消しといて」
って。
「無視かよ!」
なんて言うゆーちゃんを見て、やっぱどんなに酷い事されてもゆーちゃんを嫌いになれないな。なんて思った。
「璃玖、行くぞ」
柚子ねぇに言われた通り換気扇を消したゆーちゃんは靴を履いて歩き出した。
そんなゆーちゃんを慌てて追いかける。
大通りに出るまでの道を付き合ってた頃の様に歩く。
「璃玖、ちょっと痩せた?」
「そうかな?」
「ま、腹の肉はちょっとどうにかした方がいいけどな」
「うるさいよ」
なんて他愛ない話をしながら歩く。
そこで分かれ道に差し掛かり
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
目を合わせて微笑み合う。
きっともう会う事はない。
‥‥と思う。
歩き出したゆーちゃんの背中を見送りながら、私も背中を向けて歩き出した。