◇ 私の彼氏 。
「 始まりの音 」
─ ガチャ
「あ、ねぇ璃玖!プリ撮りに行こうよっ」
話が終わって部屋に戻ると思い出したような咲穂の唐突な発言。
「ん?いいけど‥何で?」
「今日盛れそうなのっ」
なにそれ ‥
私は呆れた表情をしながら了承すると、チラリ、かなたんに視線を向けてみた。
どうやら起きる気配はない様子。
「ね、かなたん何時に寝たの?」
「さぁ〜。多分昼過ぎ」
そう言う咲穂は化粧直し中。
コイツどんだけプリクラにかけてんの。
「あ、奏多くんも連れてく?起きないと思うけど」
ん〜
一緒に行きたいけど、起こしちゃ可哀想だよね。
「いや、いいよ。2人で行こ」
「了解。二重幅やばい!」
ったく、コイツ‥
アイプチだかなんだか知らないけど、顔作りすぎだろ。
「はいはい、早く行こっ」
「待って、化粧がっ」
「私なんか昨日の化粧だっつーの。ほら早く」
「はーい」
渋々立ち上がった咲穂を連れて、私は家を出た。