◇ 私の彼氏 。
紙とペンを渡したついでに、蓮くんと奏多くんが座るベッドに腰掛ける。
「山田ってやつが3時で1万5千円」
「はいよ。次は?」
「次は中田ってやつでー‥」
蓮くんが口にする言葉を、メモ取る奏多くん。
そのメモを覗き込んで見ると‥
「字、うま」
物凄く字が綺麗。
「だろ?」
そんな私の言葉に得意気な表情を浮かべる奏多くん。
うん、ホント上手い。
「習字してたの?」
「してないよ。けど、大体女って字上手くない?」
うわ、何その考え。
「りぃ、上手くないよ」
「何か書いてみ♪」
「‥何て書くの?」
「んじゃ俺の名前ー♪」
奏多くんの名前?
「漢字わかんない」
「当てて♪」
んー
どんな字書くんだろ?
「わかんないよー。奏でるって言う字?」
「当たり♪それにー」
「お前じゃわかんないって♪」
そこで蓮くんからのうっざいお言葉。
「わ、わかるもん」
「んじゃ当ててみろよ」
うっざ‥
ぜってぇ当ててやる。
そこで携帯を取り出し変換機能で漢字を出す。
「ね、これっ?」
暫く悩んで“奏多”と言う字を携帯に表示する。
「おーお前にしては凄いじゃん」
くっそムカつくー‥
「お前さっきからうざいし」
「お前のがうざいし」
さっきから蓮とはずっとこんな感じだ。
いつしか呼び方も蓮くんから“蓮”に変わっていた。