さくらんぼ


そうこうしているうちに、だんだんと私も眠くなくなってきた。

寝てる場合じゃないくらい、楽しかったから。

数学の授業なんて、そっちのけだった。

だから、困った。

『はい、じゃあ、藤沢さん。』

いきなり先生に名前を呼ばれて、はっとした。

『はいっ!』

びっくりして、軍隊の敬礼みたいな返事をして、みんなにくすくす笑われた。

後ろの藤田くんも、わらっていた。

急に恥ずかしくなって、顔が赤くなった。

『はい、じゃあ、この問題、解いてくれる?』

「えっ・・・?えっと~・・・・」

まるっきり、意味不明だった。

なにしろ、全く先生の話を聞いてなかったんだから。
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