さくらんぼ
藤田くんは、もう部活が終わったらしく、制服に着替えている。
いったい、どうしたのかな。
そうこう考えていると、藤田くんがどんどん近づいてきて、私の前で止まった。
「藤沢さん!ごめん!」
私がびっくりしていると、藤田くんはいきなり頭を下げた。
何で誤るの?
わけがわからなくなった。
「な、なんで・・・??」
「実は、藤沢さんの定期が、俺のスクバに入ってた!ごめん!」
そう言うと、あわただしくカバンの中から少し汚れたピンクのケースに入れられた、私の定期を差し出された。
自分のスクバを確認すると、定期は無かった。
よかった。このままだったら、帰れなかったかもしれない。