さくらんぼ
藤田くんは、そこまでして私に定期を届けようとしてくれた・・・
そんな藤田くんの優しさが、胸に染み込んできて、暖かかった。
穏やかな春の夕日を見ながら、私たちはそのまま二人で帰ることになった。
でも、本当に本当に緊張した。
なんでかな。藤田くんと話すとき、目をあまり合わせられなかった。
たまに声が裏返ったりして。
自分の鼓動が、耳で聞こえる。
体じゅうが熱くて、ほっぺたが溶けそうになる。
それくらい、二人っきりでいるのに緊張した。