さくらんぼ
別れを告げた後も、なんだか心がムズムズして、どうしてももう一度藤田くんの顔が見たくなった。
どうしても。
どうしても。
だから、振り向いた。
振り向く気なんて、無かったのに、体が勝手に振り向いた。
すると、まだそこには藤田くんが立っていた。
目が合って、お互い何も喋らない。
そこだけ、二人の間だけ、時間が止まった気がした。
「じゃあね。」
二回目のさよならで、やっと別れた。
なんだか、やっぱり心がムズムズ。
なんだろう。
大木くんにも、他の誰にも、こんな気持ちは生まれないのに。
なんで、藤田くんといるときだけ、こんな不思議な気もちになるのかな。
この気持ち、もしかしたら
もしかしたら・・
この気持ちは、『好き』って気持ちなのかもしれない・・・