恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「いってぇ…」
学校の近くの公園の水道で、俺は口元を洗う。
けっこう切れてるらしく、血の量がひどい。
今日は、あの温厚で常に笑顔の優介が俺を殴った。
顔に普段の微笑みはなく、ただ、怒りだけが滲み出ていた。
…その原因は、すぐに分かった。
俺が…
高科にキスしたから。
…自分でも、キスした理由が分からなかった。
俺が好きなのは、舞花のはずだから…。
俺が好きなのは、舞花だけ。
ずっと、今までずっと…
当然のようにそう思って過ごしてきた。