恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「柚杞、今日は体調が悪かったんです!」
みんなの注目が集まる中、美依が声を上げた。
みんなびっくりして美依を見る。
「ぇと…だから…行かなかったんだよね…?」
美依が私を見て言う。
あわてて私はぶんぶんと頭を縦に振った。
「そうなんです。ちょっとキツくて。」
微笑みながら私は智晴先輩に言った。
「…ふーん。」
いつものように興味の無さそうに返事をすると、智晴先輩はまた廊下を進みはじめた。
つられて智晴先輩と一緒にいた二年生の人たちもぞろぞろと去っていった。
…助かった…。
私は胸を撫で下ろす。
美依が助け船を出してくれなかったら…
私はきっとどうにも出来なかっただろう。
「美依、ありがとう。」
美依を見ると、胸を押さえていた。
「き…緊張した…。二年生いっぱいいるんだもん…。しかも相手、藤堂先輩なんだもん。」
美依はあんまり前に出るタイプじゃない。
ほんわか、癒し系な女の子。
だから、すごく嬉しかった。
「でも、柚杞、困ってそうだったから。よかった。」
美依はそう言うとはにかんだように笑った。
「美依〜…ありがと〜!」
私は美依にぎゅっと抱きついた。