恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「…中庭でいい?」
それだけぼそりとつぶやくと、智晴先輩はすたすたと歩きだした。
私は慌ててその後を追いかける。
「で、話って?」
クルリと私に向き合うと、智晴先輩は少しだけ首をかしげた。
…かわいい!
それに、少しだけねぐせのついた黒い髪がさらっと揺れる。
何をしても、かっこいいんだな…
状況も忘れて、私は先輩にみとれてしまった。
「聞いてんの?」
私はあきれたような智晴先輩の声で我に返った。
「えっ!?」
「話。なにって聞いてんの。」
…聞いていいのかな。
でも…
気になるよ。
すうっと息を吸って、私は智晴先輩を見据えた。