ROMANCE

はねるように一歩飛び出すと「あ」と声が聞こえた

「直也!」

思わずうれしくて笑顔で振り向いてしまった

だけど愛想笑いも返さない顔を見て(しまった)と気づく

機嫌・・・悪いんだった・・

「おかえり、遅かったね」

取り繕うようにゆっくり話す

「ああ・・遅くなったから女子マネ、送ってってた」

そっか

直也がアタシの横を通り過ぎて自分の家に入ろうとする

「あの!」

鍵を取り出す手をとめて横目でこっちを見る

その目が険しくてひるんでしまう



「何?」

「あの・・・ごめん・・・ね?」

「何が?」

・・・・・・そういわれると、困るんだけど




黙ってしまうと「それじゃ謝ってる意味ねえし」と悪態をつかれた

なんかちょっと目が熱くなる

いじめられて泣く小学生みたいでかっこわる・・・

そう思って涙をこらえた
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