ROMANCE
鍵をあけようとする背中に言った
「ごはんは?」
「いらね」
強く吹いた風に心も飛ばされそうだった
打ちのめされないようにしっかりと踏みとどまる
「・・・・・明日ね、来るなって言われても、行くから」
直也がまた手をとめた
「今まで、直也の試合は一度も欠かしたことないし・・・」
「好きにすれば?」
冷たい声が響いた
鼻のあたまがツンと痛くなる
だめだ、もう涙をこらえきれないや
「好きにする」
ばれないように気丈に返事をするけど、涙で声が震える
直也に背を向けて自宅に向かった
………って言っても隣だけど
何かから逃げるようにあわてて玄関のドアをあけると、低い声がアタシをおいかけてきた
「おい」
顔を見られたくなくてアタシは急いで玄関にかけこむとドアをしめようとしたけど、強引に体をわりこませてきて敵わなかった
うつむいたまま靴を脱いでリビングへと行こうとすると直也も追ってくる
「おいって」
「何?」
リビングのドアまであと少しというところで肩をつかまれて振り向かされると、アタシの顔を見た直也が眉間にしわを寄せた