ROMANCE
直也の怒りがおさまったのが伝わってくると、全身から力が抜けた
腰が抜けるようなキスで返事すらできないアタシの耳元に口を寄せると、小さい声でささやいた
「俺の彼女になって…」
展開においつかない頭
目を覚ますかのようにポケットに入れてた携帯が鳴り出して、アタシはあわてて直也から離れた
携帯を開くとー寺野―の文字
バッドタイミング
上からのぞきこんでる直也の視線を感じて、アタシは通話ボタンを押せなかった
「出れば?」
だって、また、不機嫌になられたらイヤだ……
直也はアタシの手から携帯を取り上げるといとも簡単に通話ボタンを押してしまった
『もしもし宇佐ちゃん??』
電話越しの寺野の声がアタシにまで届く
「……俺の彼女になったから」
アタシは思わず直也の顔を見返した
直也も鋭い視線を迷いもなく返してくる
『あー…秋山?』
寺野の声がきこえていたけど、直也は電話を切ってしまった