ROMANCE
打って変わったように優しい目をした直也がアタシの髪に手をのばしてゆるゆると撫でる
「返事もらう前に宣言しちゃったけど」
口調もいつもみたいに戻ってる
片手でアタシの携帯を操作してるから不審におもって覗き込むと、電話帳から寺野の番号を削除していた
すっごく満足そうな顔
「ん」
そういってアタシのポケットに携帯を返すと、思い出したように腰に手をまわしてだきしめてくるから、アタシの足はまた頼りなく地面を探す
「何もしないから、暴れるなって」
それでもアタシが体を強張らせていると「明日試合だし…」とか愚痴っぽくつぶやく
…明日試合じゃなかったから何かするって事?
そんな考えが頭をよぎったけど、口には出さなかった
「で?返事は?」
「返事?」
「もう俺の彼女??」
「………」
「聞こえない」
「うん」