ROMANCE

「宇佐ちゃんさ・・・」

寺野がアタシの目をみながら何かいいかけたとき、ドン!と机が鈍い音を立てて揺れた

体をビクッとさせて目の端にうつる姿をみあげると直也が不機嫌そうに立ちはだかって、返しにきたお弁当箱が机に置かれてるのが見えた

「え?」

思わず声がもれる

「おう、秋山」

寺野が声をかけて、直也は視線をアタシから寺野にうつす

「宇佐ちゃんの弁当食わせてもらった、マジうまいね」

返事をしない直也・・・

なんかものすっごく気まずい雰囲気が漂ってるんですけど

「そういや剣道部、あさっての土曜日に県内の強豪チームと練習試合あんだって?」

空気を読んでるのか読んでないのかわからないまま寺野が話し続ける

「ああ・・・」

やっと直也が口を開く

ちょっと安心・・・と思ったら、寺野がアタシに向き直った

「あ、そうだ宇佐ちゃん土曜日さ、俺の知り合いがライブやんのね、一緒に行かない??」

「え??」

この流れでそんなお誘い??

アタシは左右に視線を動かすと「ああー、土曜日??」と急いで頭をフル回転させる

「友達と、なんか約束してた・・・と思うから」

「じゃあ、その約束が無しになったりすることがあったら声かけて」

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