姫と王子
 
 
一そして、
あたしは両腕を
つかまれた。
 
「ヤダ!なに!?」
 
腕を振り払おうと
するが、壁に
押し付けられて、
離れることはない。
 
必死な抵抗もむなしく
あたしはその場で
俯いた。
 
 
「・・・顔上げろよ」
 
「や、だ…」
 
震える声を振り絞って
小さな声で言った。
 
 
一すると、東宮は
あたしの顎をくいっと
上げた。
 
両腕は東宮の片手で
まとめられ、頭の上。
もう片方の手は
あたしの顎に。
 
 
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