姫と王子
あたしは力が
入らなくなり、
ガクッと体勢を崩す。
それを東宮に
支えられ、あたしは
東宮にもたれる形に
なった。
今は東宮の胸に
顔を埋めて、
制服を掴んでいる。
東宮は両手で
あたしを支えている。
「・・・ちょっとやりすぎ
たかな。柚綺には
まだ早かったな。
力、入らなくなる
くらいだし?」
「・・・な、なんなの…。
いきなりこんなこと…」
「最初に言っただろ。
俺の言うことなんでも
聞くって。…もしかして
ファーストキスだった?」
そう言って、東宮は
ニヤっと笑った。
…図星。今まで
彼氏がいなかった
あたしにとって、
キスは初めて。
しかも相手が
こんな奴だなんて…。
好きでもないのに。