セカンドピアス
2.親
「うっせえな!ほっとけよ!」
ドア越しに叫ぶ声。
いったい誰が、あたしのことを小学生と呼ぶだろうか。
ふいに開いたドアから、
思い切り振り下ろされた手。
それは見事にあたしに命中し、
口の中いっぱいに鉄の味が広がる。
痛いじゃん。
何してくれてんの。
いてえよ。
きっと睨み付け、
そいつを押しのけて部屋を出た。
向かう場所は1つ。
大事な片割れちんの家だ。
背中で聞こえる怒鳴り声をシカト、
履き慣らされて汚れた靴紐のハイカットを履いて脱出。
「ったく、もうあれ虐待じゃん。」
ぶつぶつと文句を言いながら
mailを打つ。
『ちゃんちゃん-!★、今いける????♡』
送信完了の表示がでてすぐに、
最近仕入れた曲が流れ始めた。
『ちゃんちゃん-!☆、また喧嘩か!、いいぜ、こいよ~♡』
返信を見てほっとする。
コイツだけがあたしの身のよりどころだ。