Santa_Claus
 お婆さんは驚いた顔をしましたが、すぐにまた笑顔を作って。


「ジャック、お前は本当にいい子だねぇ。いつかきっと、お母さんとお父さんに会えるよ」


(お前を捨てた両親がまだ生きていて、まだお前を愛してくれているなら……ね)


 心の中でお婆さんがそう呟くのと同時に、玄関からガチャリと鍵が開く音がした。


「あっ、お爺さんが用事から帰ってきたんだ」


 ジャックの表情はパァッと明るくなり、玄関へ向かおうと腰掛けていた椅子からジャンプするようにしておりた。


「僕ね、サンタさんからプレゼントをもらわなくてもいいと思ってる。だってお爺さんが、買ってきてくれるから」


 ジャックはお婆さんにそう言って、走って玄関へと向かう。


「お爺さん!おかえ……り…………えっ……?」

「ただいま、ジャック。今用事から帰ったぞ」


 お爺さんを凝視するジャック。

 愉快そうに笑うお爺さん。
< 42 / 45 >

この作品をシェア

pagetop