God of Death

１

「任務完了だ……」
　彼は、誰に言う訳でもなく呟いた。とても重苦しく、低い声だった。
　もうすぐ日が暮れる。辺り一面が夕日のオレンジに染まった中、彼はぴちゃり、ぴちゃりと、血溜まりを踏んで歩いてゆく。


『キシシ。今回も楽勝だったな、エミヤ？』
　彼の持っていた鎌が、楽しそうな口調で彼に尋ねた。全体的に赤っぽく、柄と刃の部分を繋ぐ金属で出来た部分に、大きな瞳が一つだけ付けられた悪趣味なデザインの鎌。
　彼の声よりも少しだけ高く、明るいと言うよりは、戯けた声だった。彼は、「ああ」と短く肯定する。
『キシシ。どうだ、人殺しは楽しいだろう。ほら、こんなに血だらけだ。キシシ』
　鎌は狂った様に不気味な笑い声をたてながら、また彼に尋ねる。
　彼は、今度は返事をしなかった。