God of Death
「あの、あなたは……?」
 彼女が身体を起こし、彼の目を見据えて尋ねた。

「あ、え、えっと、……エミヤ、だ」
 彼は、焦りながらもなんとか名乗り、さっと目を逸らした。先程まで鋭かった瞳が急に幼く見えた。それになんだか、彼の白い頬が薄くピンクに染まって見える。
「そうですか、初めまして。私は、桜木 笑実香(サクラギ エミカ)と言います」
 小さくお辞儀をして、彼女も名乗る。すると彼……エミヤは、目を見開いた。不意に、笑実香とエミヤの目が合う。

「……あの、どうかされましたか?」
 彼女……笑実香が、心配そうにエミヤに尋ねると、エミヤは「いや、何も」と短く言って、また笑実香から目を逸らしてしまった。
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