閃きの神様
◆そうして…
ぐいぐいと引っ張られて、北区の方へと向かう。
今度は一体なにを食べに行くんだろうと考えていると、ふいに神坂が話し掛けてきた。
「中みなはさー、なんで小説書いてんの?」
「なに?急に……。」
「やーなんとなく?やっぱり閃きを与えてる身としてさ、気になったりするじゃん?」
「はぁ?」
「俺のご加護が、中みなにどんな影響与えてんのかなーとか。」
珍しいな。
神坂はいつも、私の小説に関しては何も聞いてこなかったし、ネタ帳を覗いてくる事すら無かった。
「しょ、小説を書き始めたのは……恥ずかしいからやっぱり言えない!」
「えー、なんでだよ。」
神坂は口を尖らせた。
「じゃあさ、どんな小説書いてんの?俺が与えた閃きって、どんな風なの?」
「それも秘密!神様なのに、そういうの分からないんだね?」
「まぁね。俺は閃きを与えるだけだからなー。加護を貰った奴がどう捉えるかによって、閃きは変わっていく。」
「ふーん。」
なんか、今日の神坂はいつにも増して神様みたいだ。