閃きの神様
「神坂、なんか今日はいつもと違うね。神様みたい。」
「みたいじゃなくて、神様なんだっつーの!」
「はいはい。わかったわよ、神様!」
そんなやり取りをしていると、ふわっと風に乗った甘い匂いが鼻を掠めた。
思わず、良い匂い…と零すと、神坂がキラキラした笑顔を向けてきた。
え?なに?眩しい……
「中みな!お前もなかなか目ざといな!そう!今日はここだ!!」
「……ケーキ屋さん?」
フランスの風景画から飛び出してきたようなそのお店は、周りに並ぶ住宅とは全く雰囲気が違う。
「ただのケーキ屋じゃねぇ!ここは、フランスで修業したシェフが作る、特にチョコレートにこだわっただな、」
「あーはいはい!分かった!話は中で聞くから!とにかく入ろうよ。」
長くなりそうだった話を遮り、神坂の手を引いてお店の中へと入った。