最果てのエデン

疲れたようなため息をイチくんは零して、視線を伏せた。

それが苦しくて、言ってしまったことをあたしは後悔する。
心臓が痛いくらいにドキドキと脈打っていて、そんなわけはないのにイチくんに聞こえていないかなと心配になった。


「――お前は、俺になんて言って欲しいの」

「別に、そう言う訳じゃない、けど」


言ってやろうか。イチくんが一本調子で告げる。まるで何かの台詞みたいだった。


「芹沢は気ぃちいせぇくせに粘着質だからお前を心配して、この家にいろって言ってたんだ。だけどもう大丈夫だろうなって思ったから、学校に行ったらいいんじゃねぇのって言ってんの。なんなら行きも帰りも俺が送ってやろうか」

「……そんなつもりじゃ」

「これで、満足?」

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