最果てのエデン

――イチくん。


自業自得だなと思いながらも、あたしの深層はこのとき確かにイチくんの名前を叫んでた。

万葉と縋るように呼ぶいつもの調子で。

祈るように、
イチくんの名前を。



それでどうして欲しかったのかは、分からないのだけれど。




『美月ちゃん』万葉が笑う。『ひどいよ、僕が助けてあげたのに』

ごめんねごめんね、万葉。もっと生きていたかったよね。
あんただったらきっと、もっと。

あたしなんかよりよっぽどみんなを喜ばせたのにね。


< 118 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop