最果てのエデン

どこかに行こうと思ってくるっと男に背を向けてまた雨の中を歩き出そうとしたとき、美月と確かに男に名前を呼ばれて、あたしは思わず立ち止まった。


「なんで名前知ってるの?」

「お前行く充てでもあんの?」

「……あたしの質問に答えてない」


男は面白くもなさそうに口角を上げてあたしを見下ろした。

きれい過ぎるからなのかな、その顔が。
あたしはあてられたように見つめたまま動けなくなる。


「今から他のオトコ掴まえんのも大変じゃねぇの?」

「――だったら何? あんたが相手してくれるって?」

「残念、俺、子どもに興味ないからな」

「誰が子どもだってっ……」

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