最果てのエデン

「美月」

「なに、イチくん?」

「――いるわけないだろ?」


自分で言っても、声の震えを押さえるのは大変で。胸のうちで思うよりも音にするのには抵抗が大きかった。

それでも、繰り返す。
いるわけないだろ、と。

「お前の」言って左手を右眼から離して美月の頬に沿わせるように動かした。



「お前の右眼と一緒に、万葉、死んだじゃん」


たぶん、傷つける意志があって、言った。

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