最果てのエデン
「もう寝ろ」
「起きたらもう怖いことなくなってるかな」
「――美月、」
「そうしたら、万葉またあたしを迎えに来てくれるかな。イチくんも一緒かな」
「―――――寝てろ、ちゃんと起してやるから」
「うん」小さく頷いて、美月の身体からゆっくり力が抜けていく。
その日、この家に美月が着てから初めて同じベットで一緒に眠った。
何をしたわけでもない。
触れ合うわけでもなければ、体温を分け合った記憶もなくて。
ただ、何かから身を守るかのように、身体を丸めて眠る美月を見下ろしていただけだ。
やりきれない感情にふたをして、俺は今日ずっと触っていなかった携帯電話をポケットから取り出した。