最果てのエデン
『美月ちゃん』『美月ちゃん、一緒にかえろ』『美月ちゃん!』
「――美月」
やるせなく響くその声は、あたしを責めるものじゃない。
けれど許すものでもなく、イチくんがあたしに対して期待するのをやめたのだと悟る。
瞬間、あたしを襲ったのは絶望だった。
それは、義務だ。
優しかったイチくんが昔妹のように可愛がってくれてたあたしに対する、最後の優しさなんじゃないかと、あたしは。
あたしを抱きしめるイチくんの体温が消えた気がした。
イチくんの言葉はもう聞こえなくなって。
あたしは、また、奪おうとしている。イチくんの道を。
――そんなの、
「いいか、美月。俺の傍にいろ。そうしたらもう、それでいいから。俺が一緒に背負ってやるから、だから俺の隣でお前はもうただ座ってたら、それでいいよ」