最果てのエデン
緊張しているとき瞬きが多くなるのは万葉の癖だった。
その丸い顔を見ながら可愛いなと思っていたことまで思い出す。
『……だって、美月ちゃん。イチくんかっこいいねってそればっかり。俺のことは可愛いとしか言ってくれないのに』
『そりゃ、万葉がかっこよくなるしかないなぁ』
『ひでぇよ兄ちゃん! 俺だってがんばってるのに……』
ふてくされた顔をした万葉はやっぱり「かっこいい」よりかは断然「かわいかった」けど。
俺は笑ってその頭を撫でた。
そしてこのときは当たり前だった言葉を吐き出した。
『大丈夫だって。万葉も今の俺ぐらいの年になったらかっこいいって言われるようになるよ』