最果てのエデン
もう、万葉が中学校の制服を着ることはなかったけれど。
ずっと、かわいいままの、俺の小さな弟。
万葉ははにかんで、でもねと上目遣いで言う。
『俺、兄ちゃんに負けないぐらいかっこよくなるから。だから兄ちゃん美月ちゃん取らないでね』
『とらねぇから安心しろよ』
『ひでぇ、兄ちゃん。そんな笑わなくてもいいじゃんか!』
簡単に瞳に涙を浮かべる弟の頭をもう一度強く撫でて、泣き虫とからかった。あの優しい想い出も。