最果てのエデン
――万葉。
素直で優しくて、甘ったれで泣き虫で。美月が大好きだった。
でも、成長していたら「男」になってたんだろうな。
美月以外にも好きな女の子が出来ていただろうか。
――いや、あいつは頑固だったからずっと美月が好きだったかもな。
今の俺をあいつが見たら、怒るだろうか。
『美月ちゃんを泣かさないで』
最後まで、美月を守ったあの弟は。本当はあの瞬間、何を考えていたんだろう。
そこまで考える暇もなく、とっさに身体が動いたんだろうな。
けれど、そうあるための想いをずっと万葉はあの小さな身体にもっていて。
それで、だから。
でも、あいつは。
あいつが、自分のその行動の所為で美月を不幸にしたいはずがないんだ。それを美月は理解しない。
それがひどく、もどかしい。