最果てのエデン

でも、それを里穂に言うことなんてできない。

だからあたしは、出来てないのかもしれないと思っても、笑ってみせる以外に選択肢なんてなかった。



「大丈夫だよ、里穂。ありがとうね」


そういった瞬間、里穂は何故かひどく傷ついた風で、そして泣きそうに顔をゆがめた。


「―――もういい! 美月の馬鹿ッ」


ばっと堪えきれないと言った感じで飛び出していった里穂の背中を、あたしはただぼんやりと見送った。

だって、何かをだなんて、言える訳なかった。

里穂の激情も、いまひとつ理解することが出来なくて。
あたしはやっぱり欠陥人間なんだなぁと思っただけだった。

イチくんも、里穂も、みんなを傷つけているんだろう、あたしが存在していると言うただそれだけで。

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