最果てのエデン

ふふっと笑って長い髪の毛を緩慢にかきあげて、透明のグラスに注がれた液体を流し込んだ。きっと焼酎だ。
挑発的な言葉にも視線にも、適当に流してしまえばいいのにあたしはその場を離れることが出来なくて、眼をそらすこともできなくて、ただ母親を見ていた。

真っ赤な唇が、また歪んであたしを突き刺していく。


「だって、あんたオトコの命奪って生きてるもんねぇ」


(――――いやだ)


「なんだっけ、名前忘れちゃったなぁ。あの小さかった子。あの子、あんたのこと好きだったんだってねぇ」


(いやだ、いやだいやだ)


心臓がざわめいてしょうがなかった。
顔だけは無表情を取り繕ったまま、あたしの内面はどうしようもないほど揺れる。ゆすぶられる。
怖い、いやだ。

そんなこと、この人にだけは言われたくない!

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