最果てのエデン

「それだけじゃないか、あの子の母親、自殺しちゃったらしいもんね。あんたオトコのか俗まで巻き込んで人生めちゃくちゃにするなんて、魔性の女みたいでかっこいいじゃない」

「…………え?」

「なんだ、知らなかったのぉ? 引っ越した後、自殺しちゃったらしいわよ、あの女。偽善的で腹の立つ女だったからちょっと笑っちゃったわよ」

「自殺……?」


万葉の、イチくんのお母さんが?

優しくて、綺麗だったおばさんの顔が浮かんで消えて、そして絞り出すように泣きながら、あたしの肩を掴んだあの日のおばさんの顔がまた浮かび上がった。



『――なんで、美月ちゃん』



「あんたが死ねばよかったのにね、あたしはそうだったとしても泣かなかったと思うわ」


もう何がなんだか、あたしには良く分からなかった。

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