最果てのエデン


『死ぬな、美月』




――イチくん。


イチくん。あたしを抱きとめてくれた腕の力強さを、温かさを忘れたわけじゃないよ。でもね、それが怖くて信じられないよ。


イチくんの気持ちがわからない。

あたしのこと、どう思ってる?
あたしが生きてて良かったって、本当にそう思うの?


万葉。万葉、万葉が、いたら。ここに、万葉が居たら。


『美月ちゃん』


はにかむように万葉が笑って、あたしに手を差し伸べた。
それを掴んだら、あたしはもう楽になれるような、気がしたんだ。

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