最果てのエデン

あたしは、万葉を殺して。
イチくんから弟を奪って、あの優しかったお母さんも奪って。

なのに、なんで、どうして。



イチくんの腕はあんなに温かくて、優しいんだろう?
怖い。信じるのは怖い。だってそれが嘘だったらどうしたらいいの?


――結局、


結局自分勝手なあたしは、あたしのことしか考えてないんだって言うのも分かってるけれど。
分かってる、けど。


(――ごめんね、イチくん)


脚は勝手に、あの日イチくんと一緒に行った駅へと向かっていっていた。




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